【 経 済 】 |
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エクイティファイナンス・・・新株発行を伴う資金調達のこと。公募増資のほか、将来株式に転換する可能性がある転換社債型新株予約権付社債を含む。新株を発行すると株主資本が増えて財務の安定性が高まる利点がある反面、発行済み株式数が増えれば1株当たりの利益などが減少することから、株価の下落要因となる場合もある。 |
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貸出約定平均金利・・・銀行が企業や個人にお金を貸し出すときの金利水準。銀行は資金調達コストに一定の金利を上乗せした「短期プライムレート(最優遇貸出金利)」などを参考に、融資先の貸し倒れリスクなどを考慮して金利を決める。
株主資本利益率(ROE)・・・株主資本をいかに効率的に活用して利益を稼いだかを示す指標。企業の最終的な儲けである純利益を株主資本で割って算出する。株主資本は企業の純資産から借入金など負債を差し引いたもので、株主が払い込んだ資金とそれを使って稼いだ利益の蓄積に相当する。
基礎的財政収支(プライマリーバランス)・・・行政サービスに必要な政策経費を借金に頼らず税収などで賄えるかどうかを示す指標。国債発行額という借金を除いた歳入(税収と税外収入)と、国債の元利払い(国債費)を除いた歳出の差でみる。
金融危機対応会議・・・金融システムの動揺を防ぐため、政府・日銀が対応策を検討する会議。首相が「国や地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じる恐れがある」と認定すれば召集できる。処理策は次のとおり。
・第1号措置 株式引き受けなどによる資本増強
・第2号措置 資金援助により預金を全額保護して破綻処理
・第3号措置 株式価値ゼロでの株式強制取得(一時国有化)
企業再生ファンド・・・過剰債務などを抱え経営不振に陥った企業の再生を目的に、投資家などから資金を集めて作るファンド。米国で急成長、企業再生や不良債権処理で大きな役割を果たしている。預金保険機構などの出資で今春設立された産業再生機構は官製の再生ファンドで、最大10兆円の資金を政府保証付きで調達できる。
金融再生プログラム・・・竹中平蔵経済財政相が金融相を兼務した直後に特別チームを結成し、平成14年10月にまとめた金融再生策。不良債権処理の促進や金融と産業の一体再生が目的で、大手銀行を対象にしている。資産査定の厳格化や自己資本の充実などを柱に据えており、現在の金融行政の基本方針となっている。
金融持ち株会社・・・銀行や証券会社などが傘下に入る持ち株会社。1998年施行の金融持ち株会社法などによって解禁された。株式の取得・売却を通じて機動的に子会社を売買でき、再編や経営効率化が進めやすいのは一般の持ち株会社と同様だが、自己資本比率など金融機関としての規制も受ける。欧米に続き、日本でも大手銀行グループや証券会社が相次ぎ金融持ち株会社をつくっている。
クラウンジュエル(焦土作戦)・・・企業の持つ重要な有価証券や知的財産権、事業権などの資産を第三者に売却し、買収の魅力を減らしてしまう手法。進入してきた敵に武器や食料を残さないように領土を焼き尽くす軍事作戦になぞらえている。
繰り延べ税金資産・・・銀行は融資の貸し倒れに備えて引当金を積むが、焦げ付きが現実になっていないため税法上は損金として扱われない。そこでいったん税金を支払い、将来、融資が回収不能になった段階で税金が還付される。この戻り分を想定し、事前に計上するのが繰り延べ税金資産。それに見合う額を「税効果資本」として自己資本に組み入れることができる。
クリーン開発メカニズム(CDM)・・・京都議定書を批准した先進国が地球温暖化ガス削減の数値目標を達成するために利用できる仕組み「京都メカニズム」の一つ。発展途上国を技術や資金で支援した削減分を自国の温暖化ガス排出枠に算入する。省エネやバイオマス(生物資源)発電、植林などがある。京都メカニズムにはCDMのほかに、政府や企業が温暖化ガスの排出枠を市場で売買する排出権取引、批准国同士が共同で温暖化ガスを減らして排出権を分け合う「共同実施(JI)」がある。CDMだけは京都議定書の第一約束期間が始まる2008年よりも前に排出権を獲得できる。
クレッジト・デリバティブ・・・貸出先の企業が経営破綻などで資金返済できず、貸し手に損失が発生するリスクを第三者にあらかじめ引き受けてもらう金融取引。銀行などが貸出債権には手をつけずに貸し倒れリスクだけを抜き出して第三者に引き受けてもらう場合、貸出債権を持つ銀行がリスクを引き受ける第三者に保証料を払い、貸し倒れが出た場合は第三者が損失を穴埋めする。
景気動向指数・・・内閣府が発表する、景気が上向きか、下向きかを判断するのに使われる指標。あらかじめ選定した景気に敏感な経済指標のうち、3ヶ月前に比べて上昇(増加)している指標の数を全体の採用指標数で割って算出する。景気に先行する「先行指数」、ほぼ一致して動く「一致指数」、遅れて変化する「遅行指数」の3本がある。一般に一致指数が50%を上回っていれば景気は上向き、下回れば下向きと判断する。
月例経済報告・・・毎月公表する政府による景気判断の報告。内閣府が最新の経済指標などから原案を作成、経済財政担当相が関係閣僚会議に提出する。報告では国内景気の状況を総合的に示す「基調判断」が最も注目され、景気の方向や水準を示すほか、先行きの見通し、リスク要因なども挙げられ、個人消費、設備投資、生産といった項目別の判断も示される。
減損会計・・・企業が保有する固定資産の価値が帳簿上の価格を大きく下回った場合、差額の損失計上を義務付ける会計制度。本社・支店の土地建物や賃貸ビル、工場の生産設備のほか、ソフトウェアなど無形固定資産も対象になる。2006年3月から全上場企業に強制適用される。
公募債・私募債・・・公社債には不特定多数に売るものと、特定の人や機関に引き受けてもらうものがあり、前者を公募債、後者を非公募債(私募債、縁故債)という。国債、事業債、金融債はほとんど公募債。非公募債は地方債に多い。
国債管理政策・・・国債を安定的に発行し、中長期的な観点で国の資金調達コストの抑制を目指す政策。国債の表面利率など商品設計や年限ごとの発行額のバランスを決めるのが柱。将来の償還額をならすための買い入れ償却や流通市場の整備なども実施している。 |
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自社株買い・・・企業が過去に発行した自社の株式を市場などから買い戻すこと。株主資本が減ると、利益が同じであれば一株利益や株主資本利益率(ROE)が改善する。日本では1994年に解禁され、2001年には株式を自由に取得して保有できる「金庫株」も導入。2003年には株主総会で定款を変更すれば、取締役会で自社株買いの時期や取得金額を自由に決められるようになった。
損益分岐点比率・・・企業の収支が均衡する、つまり利益がゼロとなる売上高(損益分岐点売上高)が実際の売上高のどれだけに相当するかを示す比率。損益分岐点比率が低いほど売上高の減少に対する抵抗力が強く、収益力が高いことを意味する。売上高が損益分岐点売上高を下回ると赤字になる。
支払い余力(ソルベンシーマージン)比率・・・大規模災害や株式暴落など通常予測しうる範囲を超えたリスクに対して、保険会社がどの程度保険金を支払う余力があるかを示す値。生保の健全性をはかる代表的な指標で、200%を下回ると金融庁の早期是正措置の対象となり、マイナスになると業務の停止命令が発動される。
需要不足失業率と構造的・摩擦的失業率・・・景気悪化などで企業の求人需要の低下を原因とする失業率を「需要不足失業率」といい、年齢、地域、職種など求人企業と求職者の条件が合わないミスマッチが理由の失業率を「構造的・摩擦的失業率」という。
潜在的成長率・・・持続的な成長が可能な、経済の巡航速度ともいえる成長率。実際の成長率がこれを上回ればインフレが起きやすくなる。労働力、生産設備、技術革新など生産性の3つの要因から算出する。企業が経営資源を効率的に使えば、生産性向上を通じ潜在成長率は高まる。 |
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退職給付会計・・・企業が将来、従業員に支払いを約束している年金や退職金の金額を計算し、財務諸表に反映させる会計基準で2001年3月期から導入された。今後支払う必要がある金額を、一定の計数を使って現在の価値に割り戻した金額を退職給付債務(年金債務)という。
立会外取引・・・証券取引所を通じて行われる時間外取引のこと。株価に影響を与えることなく大口の取引ができるため、自社株買いや機関投資家が複数銘柄を一度に売買する「バスケット取引」などに使われてきた。なお、取引所を通さずに当事者が相対でする取引を「市場外取引」という。
天候デリバティブ・・・気温や降水量などの気象条件を対象とした金融商品。契約者は損害保険会社などとの契約の際、補償金の支払いの条件を設ける。実際の平均気温や降水量などが条件を満たせば補償金を受け取れる。2005年春までに東京金融先物取引所で開始される。
TOB・・・Take Over Bit の略。株式公開買い付け。ある企業の株式を大量に取得したい場合に、新聞広告などを使って一定の価格で一定の期間に一定の株数を買い取ることを表明し、不特定多数の株主から一挙に株式を取得する方法。取引所を介さずに企業の3分の1を超える株式を取得する場合はこの手続が必要。 |
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日銀当座預金残高・・・銀行や証券会社など金融機関が日銀に開設している預金口座の残高。口座は日銀との資金の受け渡しや、他の金融機関との資金決済に利用されており、利息は付かない。当座預金には金融機関が預金量などに基づいて一定の量を日銀に預けることが義務付けられている準備預金も含まれる。
日経平均株価・・・日本を代表する株価指数。東証1部の上場銘柄から流動性の高い225銘柄を選び算出している。株式数の増加に伴う値下がり分などを修正し、長期にわたって株価を比較できるようにしているのが特徴。市場での流動性などを参考に毎年銘柄の入れ替えを実施し、市場環境や経済実態の変化に対応できる方式を採用している。 |
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パックマンディフェンス・・・買収しようとしてきた企業に対し、逆に買収を仕掛けること。テレビゲーム「パックマン」で、攻められたキャラクターが一転して敵に襲いかかり、攻守ところを変えることから名付けられた。
米国会計基準・・・米財務会計基準審議会(FASB)が作成し、米証券取引委員会(SEC)が承認する企業会計基準。米企業だけでなく、日本など米国外の企業がニューヨーク証券取引所に上場する際などにも、この基準による決算書が求められる。時価会計を原則とし、減損処理や貸倒引当金などの扱いについて日本の会計基準より厳格なのが特徴。
ヘッジファンド・・・高度な金融技術を駆使し、相場の上げ下げにかかわらず利益をあげることを目指す私募型の投資信託。機関投資家などの資産を預かり、巨額の運用を行い、各国の株式市場に影響を与える。
ポイズンピル(毒薬条項)・・・既存の株主に対して、時価を大幅に下回る価格で株式を引き受ける権利を付与しておく規定。敵対的な株式公開買い付けなどで一定の株式を買い占められたときに発動、買収者の議決権比率を下げる。
ホワイトナイト(白馬の騎士)・・・敵対的な買収を仕掛けられた会社の経営陣が友好的な会社や投資家を連れてくること。配当、議決権の行使範囲などで「普通株式」とは異なる権利内容を持つ「種類株式」を割り当てたり、価格を時価より下げたりして優遇することが多い。 |
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マネーサプライ・・・個人や企業など金融機関以外の民間部門が持つ通貨の残高。市中に出回っているお金の規模を表す。現金、要求払い預金(普通預金と当座預金)、定期性預金の合計に譲渡性預金を加えた「M2+CD」が代表的指標で、政府はこの伸び率を重視している。一般に、マネーサプライの伸びが名目国内総生産の伸びを上回ればお金の価値が相対的に下がり、物価が上昇しやすいとされる。
マネタリーベース・・・日銀が金融市場で銀行や証券会社など金融機関に供給しているお金の残高を示す指標で、日銀当座預金残高と現金の合計。マネーサプライのもとになる通貨という意味で、ベースマネーと呼ぶこともある。本来はマネタリーベースが増えると金融機関を通じて企業向け貸し出しなどが増え、マネーサプライの増加につながるとされる。
民間設備投資・・・民間企業が工場や事務所を建設したり、機械を購入したりする投資のこと。生産設備の新設・増強や古くなった設備の更新・補修、合理化、省力化、省エネ化、情報化などの目的がある。日本では国内総生産(GDP)の15%前後を占めている。企業の景況感を敏感に反映するため、個人消費とともに景気の重要な指標のひとつになっている。 |
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レバレッジド・バイアウト(LBO)・・・買収先企業のキャッシュフロー(現金収支)や資産を担保に必要な資金を金融機関などから調達し、株式を買い付ける手法。それをテコ(レバレッジ)にして巨額の資金を調達し、少ない自己資金でも大企業の経営権を取得できる。 |